白い病 カレルチャペック

表紙の絵に興味を惹かれて読んだ。

 

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全部で130ページくらいの戯曲で、セリフが連なって進むから話のテンポがいい。

 

内容は

世界大戦が起きてた頃の情勢の中、世界で白い病と呼ばれる病気のパンデミックが起きて、それを治療できる医師と戦争で領土を拡大したい元帥の対立といった話。

 

白い病は50歳前後になるとみな発症し、皮膚が大理石のように変色した後、悪臭を伴って腐り落ちる病気。

 

治療法を見つけた医師ガレーンは、貧しい人にしか治療をしないという意志があり、社会的地位のある人は戦争放棄や武器製造の停止など平和的行動を起こさない限り治療できないというある種の脅迫を行う。

 

それに対し、国家元帥は自分がいれば戦争で負けることは無いとし武器や軍隊の整備を進め世界が混乱している情勢のうちに国土を広げようとする。

 

戦争を止める為に目の前の患者(貧困層以外)を助けない選択をした医師と戦時中のトップに立ち自国のために戦争をしなければならないという立場の元帥。

 

一見すると二項対立の構図なんだけど、物語の最後は皮肉の効いたオチになってる。

 

コロナは落ち着き始めているしこの戯曲はフィクションだけど、世界的パンデミックとロシアウクライナの戦争がある今読むことに意味があったような気がする。

 

大衆のひとりとして考えて行動しなければ、物語の結末のようになりそう。